イオンは 《イオン・原子・雑誌》

原子あるいは原子団において、それを構成する全原子核のもつ正電荷数と、全電子のもつ負電荷数とが同じでないものをイオンという。

電解質、たとえば塩化ナトリウムNaClの水溶液に直流電流を通じると、低電位極へ向かってナトリウムの原子が移動し、高電位極に向かって塩素の原子が移動する。

この現象をイギリスのファラデーは、ナトリウムの原子が正の電荷をもち、塩素の原子が負の電荷をもっているためと説明し、これらの電荷をもつ原子を「移動する」という意味のギリシア語ionaiからイオンionと命名した。

その後、電子の存在や原子の電子構造などの研究が進み、イオンとは中性原子あるいは原子団における整数個の電子の得失によって生ずるものであることが明らかにされた。

正電荷数が過剰のもの、すなわち中性の原子または原子団から電子が失われたものを陽イオンといい、負電荷数が過剰のもの、すなわち中性の原子または原子団に電子が加わったものを陰イオンという。

陽イオンは正イオン、陰イオンは負イオンとよぶこともある。

中性の分子であっても、陽イオン部分と陰イオン部分を含む構造をもつものがあり、これを両性イオンという。

アミノ酸はその分子中にアミノ基-NH2とカルボキシル基-COOHとをもつが、水溶液中や結晶中で両性イオンとなりやすいことが知られている。

イオンは、そのもととなる原子あるいは原子団の化学記号の右肩に、得失した電子の個数を符号とともに示した記号であるイオン記号で表される。

得失した電子の個数はイオン価であり、一般に正n価の陽イオンはMn+とし、負n価の陰イオンをXn-のように示す。

n+のかわりに+nを、n-のかわりに-nを用いたり、+や-を価数だけ列記することもあるが、現在では正式の表記法ではない。

イオン1個のもつ電気量は電子1個のもつ電気量の絶対値のイオン価倍になる。
update:2010年03月17日